国内線では、飛行機一台の年間売上が100億円?
先日、たまたま乗った飛行機「JA614J / Boeing 767-300」。
ちなみに、この「JA614J」は、
- 日本航空・JALが利用している飛行機
- ボーイング社 Boeing 767-300
- 主に国内線の主要幹線に就航。
韓国や中国路線にも使われることもある模様。 - 2005年に運用開始
JA614Jの1日の運用状況
その機体番号「JA614J 」の飛行機の1日の動きをみていくと。。。
JL506 11:00 Sapporo (CTS) → 12:40 Tokyo (HND)
JL517 13:30 Tokyo (HND) → 15:00 Sapporo (CTS)
JL516 16:00 Sapporo (CTS) → 17:40 Tokyo (HND)
JL137 19:00 Tokyo (HND) → 20:20 Osaka (ITM)
札幌と東京の往復を2回行い、その日の夜は大阪で終える。
そして、翌日は、大阪から東京に戻り、東京と福岡の往復を2回。
JL311 09:10 Tokyo (HND) → 11:05 Fukuoka (FUK)
JL312 12:00 Fukuoka (FUK) → 13:35 Tokyo (HND)
JL323 15:10 Tokyo (HND) → 17:10 Fukuoka (FUK)
JL326 18:00 Fukuoka (FUK) → 19:35 Tokyo (HND)
こうしてみると、飛行機は、1日に何度も飛ばされていることを実感します。
路線バスや列車のように、行ったり来たりの繰り返し。
一般的な旅客者としては、飛行機の旅は、非日常的なもので、その乗ってきた飛行機というのは、貴重な思い出の一場面となるわけですが、運用する航空会社からすれば、その日何往復しているうちの一つの区間にすぎず、One of Themだなと感じます。
ちなみに、離島間をひたすら往復したり、「タッチ」(到着について、そのまま帰る)でもすれば、乗ってきた飛行機と同じ飛行機にのり、乗務員も一緒ということとなり、おなじようなOne of Them感となります。
飛行機の収益性を試算してみる
飛行機は高価な機材です。
このボーイング社のBoeing 767-300のカタログ価格は約130億円。
メーカーと航空会社の交渉やまとめ買いなどで、これよりは低いと思います)。
当然のことながら、航空会社にとって、この高い資産である飛行機を飛ばさないと、お金を稼げません。地上にいるアイドルタイムを短くして、どんどん飛ばして、いかに収益性を高めていくか。というのがポイントになります。
以下のように条件を置いて、簡単に試算をしてみました。
- Boeing 767-300の販売座席数:約250座席。
- 一座席あたりの平均単価を2万5千円とする。
1区間を飛ぶと → 約600万円。
1日5区間飛ぶと → 約3,000万円。
1ヶ月(30日間)飛ぶと → 約9億円。
1年(12ヶ月)飛ぶと → 約100億円。
注意:実際には、整備期間もあるから稼働期間はもっと短く、マイル特典航空券などの有償以外の搭乗もあるので、金額は低くなると思います。
国内線・飛行機一台で約100億円の売上
上は、かなり適当な試算ですが、Boeing 767-300飛行機一台で、国内線では年間で約100億円の売上を稼ぐことになります。
実際には、有償貨物も旅客と一緒に運搬しているので、 その収益も加わります。
ついでに、新幹線も同じように計算してみると
- 新幹線 一編成の座席数:約1,300座席席。
- 東京-博多で、一座席あたりの平均単価を2万円とする。
片道で → 2,600万円。
往復で → 5,200万円。
一回の売上高でみると、新幹線は半端ない収益だとわかります。
新幹線の片道分で、飛行機の一日分の売上を稼いでしまいます。
ちなみに、稼働時間で見ると、東京-福岡では、
それぞれの所要時間は、
飛行機は約2時間
新幹線は約5時間
です。
この時間をもとに、単位時間当たりの収益は、
- 飛行機:300万円/時間
- 新幹線:500万円/時間
となります。
飛行機の方が、単位時間あたりの収益が高いと想像していたら、そうではありませんでした。
飛行機の損益分岐点は?
費用という点でみると、飛行機は、
・飛ばすための燃料代
・人件費
・空港の利用料や着陸料
などがあり、粗利率は40%ぐらいなのではないでしょうか。
一路線あたりの費用と、その利益を見ると、
売上 → 約600万円。
費用 → 約60%。
利益 → 約200万円。
上の数値は、満席の場合を想定して、しかも、かなり適当な試算です。
個人的には、金額が少ないような感じがしてしまいました。
あのような大きな飛行機が飛んで、利益は「こんなもののか」という感じです。
しかし、一日何回か飛び、同時に何十機もの飛行機が飛べば、航空会社全体の売上・利益としては、かなり大きなものになります。
飛行機の運航コストの損益分岐点は、一般的に60-70%の搭乗率と言われています。(この数値は、国内線・国際線の種別、路線などで異なります。)
日本航空・全日空の年間売上高を見ると、
・日本航空・JALは1兆3,366億円
・全日空・ANAは1兆7,911億円(いずれも2016年3月期)。
また、営業費用は、
・日本航空・JALは1兆1,274億円
・全日空・ANAは1兆6,547億円(いずれも2016年3月期)。
売上高は大きいが、費用もかなり大きい。
こうしてみると、飛行機というのは、かなり事業コストの高い乗り物だと感じます。
飛行機に乗っている時に、ヒマだったので、上のような試算をしてしいました。かなり適当な計算なので、あまり信用しないでください。
おまけ:航空業界の収益状況のレポート
資料を調べていたら、こんなものを見つけました。大学での講義で、全日空・ANAの方が、説明に用いられた資料。航空会社が路線での収益性をどう高めていくのか、LCCとの比較など、けっこう面白いです。
Have a good flight! ✈