50年ぶりに大規模リニューアルした「JALの旅客システム」。けっこうトラブルありました。
- 2017年11月16日、日本航空・JALが「旅客システム」を刷新
- 「JALの新旅客システム稼働 トラブルなくスタート」という大本営発表
- JALの「旅客システム」リニューアル後の感想
- 「新旅客システム」刷新で運賃高騰?のウワサ
- 追記:国際線の運賃が高騰?(2019年1月)
- 「お詫びマイル」がでるかもね?
- Xデーを11月16日にした理由
- 11月16日が「美酒だった人」と「やけ酒だった人」
- 日本航空・JALの新ルールをチェックしましょう!
- 追記:システム変更の影響をじわじわと実感(2018年4月)
2017年11月16日、日本航空・JALが「旅客システム」を刷新
日本航空・JALが、2017年11月16日に「旅客システム」を刷新しました。
50年ぶりの大規模リニューアルということで、従来のホスト系のコンピュータ・システムから、クラウド系のシステムに変わりました。
今までの自社開発していたシステムを捨て、「アマデウス」という外部のクラウド・システムへの移行となります。
「アマデウス」というシステムは、スペインに本社のあるIT企業が運営している航空会社向けシステムの一種です。
アマデウスITグループ([æməˈdeɪʊs aɪ tiː ɡrʊp]、スペイン語: Amadeus IT Group S.A.)は、旅行会社・航空会社などの観光関連企業を顧客に、処理システムや各種ITソリューションを提供する多国籍企業である。
全日本空輸(ANA)は2015年4月より、国際線予約システムをアマデウスアルテアに切り替えた。 日本航空(JAL)は2017年度を目処に、国内線と国際線の予約システムプラットフォームをアマデウスアルテアに切り替える予定である
wikipediaより
一般企業がGoogleAppsに移管するような感じで、システムコストを変動費化でき、機能追加等もしやすくなるというメリットがあります。
また、アマデウスは海外の航空会社でも採用が進んでいますので、ワンワールド等の提携航空会社間での今後の連携もしやすいのではないでしょうか。
ぜんぜん話は変わりますが、日本の旧国鉄・JRが開発した乗車券管理システム「マルス」というのがあります。昔は紙の台帳で指定座席などの管理をしていましたが、新幹線の登場など需要が高まる旅客需要を見据えて、効率的な管理ができるようにと、1960年代頃にコンピュータで管理できるようにつくったのが「マルス」という専用オンラインシステム。ただ、当時のコンピュータの能力、特に記憶容量は今と比べれば全然低く、予約できる内容はかなり限られていましたが、その後のコンピュータの性能の向上とともに、対応範囲が広がっていったという、伝説のシステムです。今でも使われています。
日本航空・JALが廃棄した従来のホスト系のコンピュータ・システムも、扱っている路線数や期間、運賃などが多様でしたので、JRのマルスのように、エンジニアなどではいろいろなドラマがあったのではないかと思います。
「JALの新旅客システム稼働 トラブルなくスタート」という大本営発表
日本航空・JALの今回の「旅客システム」を刷新は、トラブルがなかったという報道があります。
たしかに、11月16日の飛行機の運航は、ほとんど問題ありませんでした。
しかし、Twitterなどで、「JAL システム」と検索すると、いろいろな不具合の声がでてきます。
何よりも問題なのは、
JALでも把握できていないエラーが存在している
という点でしょう。
利用者自身が、予約内容がおかしく、コールセンターにTELすると、その不具合のことを初めて知った、ということが続出らしいです。
まさに、
日本航空新システムのバグ報告ボランティアを募ったらいいのにね。1バグ報告10マイルとか。
という状態で、実ユーザーを交えたリリーステスト状態です。
さらに、コールセンターも、そういう問い合わせのコールが殺到し、パンク状態となり、なかなか繋がらずに、不満の利用者も多い。(一般者向けの電話窓口は、ダイヤモンド・プレミア会員向けの無料コールではなく、待ち時間も通話料金がかかってしまうのも、不満の一因のようです。)
JALの「旅客システム」リニューアル後の感想
リニューアルされた後の個人的な感想としては、以下のような感じです。
- 検索表示系 → レスポンスが早くなった(サービス開始直後はアクセス集中してダウンしていましたが。)
- 予約系 → △(一部不整合?。表示がおかしなところもある)
- 運航系 → 影響なし
- マイレージ系 → ?
- 所有の航空券 → 特に問題ない(と思う)
クラウドのメリットが生きる「検索表示系」
今まで、日本航空・JALのWebで運賃を検索したりすると、とくに国際線の場合、結果が表示されるまでの待ち時間がけっこうありました。おそらくホスト側の処理・レスポンス時間があったせいでしょう。
この検索結果の表示スピードは、移行後、早くなったような気がします。
Webのデータベース検索というのは、ホストよりも、クラウド・サーバー系の方が、いろいろチューニングしやすいので、その成果が表れていると感じます。
国際線の場合、表示のレイアウトも、外資系航空会社風に変わりました。(その航空会社もアマデウス系システムなので、当然なのですが。)残念なのは、運賃検索時の区間マイルやFLY ON ポイントが旧システムでは表示されていたのが、新システムでは表示されなくなったこと。
いろいろとトラブルが多い「予約系」
一方、「予約系」は、いろいろと不整合があるようです。
たとえば、
- 決済前の予約が消えた
- 座席指定が解除された
- 決済できない
- エラー画面が出る。Webにアクセスできない。
- コールセンターにつながらない。
- 提携航空会社での検索結果がでない。
- 表示されている文字がおかしい「予約が予選、予約状況が況状約予」など
リニューアル前のデータ移行の配慮モレがあるかもしれません。
トラブルがあるかもしれない「マイレージ系」:搭乗後の積算マイル/FLY ON ポイントはしばらく要チェック!
今回の「JALの旅客システム」刷新で細かいエラーが多い現状から、気になるのが「マイレージ系」の不具合。
1年ほど前の出来事ですが、搭乗後の積算マイル/FLY ON ポイントをみると、いつもよりも数字が変で、日本航空・JALに問い合わせたところ、日本航空・JALの計算間違いで、スグに直してもらったことがあります。
「旅客システム」刷新以降、搭乗後に積算されるマイルなどで、ミスがあるかもしれませんので、しばらくは要チェックしておいた方がよいかもしれません。
自分の航空券は問題なかった
自分が今持っている航空券を確認してみると、
「JALの旅客システム」リニューアルの翌週の国内線・航空券と、その翌月の国内線・航空券は、座席指定内容ともに、無事でした。
ただ、今まで、航空券の区間ごとに表示されていた運賃が、「--」と表示されているので、これはエラーかもしれません。
「座席指定が解除されている」という利用者の声もありますので、リニューアル前から航空券を持っている人は、念のため、確認した方がよいかもしれません。
「新旅客システム」刷新で運賃高騰?のウワサ
今回のトラブルのTwitterなどを見ていると、「JALの旅客システム」のリニューアル後、「運賃」とくに「国際線の運賃」が高くなった、というコメントがあります。
JALシステム変更の時にしれっと値上げしてないか?
— すぺくたー (@izayoi_787) 2017年11月16日
昨日検索した最安料金が出てこないんだが...
乗り継ぎも悪い便しか出てこないし。
う〜ん JALの予約システムが変更したせいか1月に行く予定だったシンガポール行きの航空券が倍以上になってしまった…
— 元 熊元 (@moto_kumamoto) 2017年11月17日
これは再検討だな
JALのシステム変更されてらの運賃がやたらと高くない? 変更前のほうがわかりやすくて使いやすかったのにな
— とるちん@JGC+ディズニー+雑記ブロガー (@1lovdisney) 2017年11月17日
JALシステム刷新した後で
— のたきし@ (@kinoshita_tks) 2017年11月17日
国際航空券料金上がってない?
私自身はまだ運賃を確認していませんが、こういう不具合は「運賃表データベースの設定ミス」あるいは「本当に値上げ」のどちらかかもしれません。
「割引運賃が正しく表示されない」不具合の場合、航空会社としては、高く買ってもらった方がうれしいので、すぐには直さないかもしれません。
急いで航空券を買う予定でない場合は、しばらく様子を見た方がよいかもしれません。
追記:国際線の運賃が高騰?(2019年1月)
システムの設定ミスだと思うのですが、とある路線のある時期では、国際線の国内区間の追加料金が5千円ではなく6万円になっています。
国際線の国内区間の追加料金が6万円に値上げ?
国際線の国内区間の追加料金5千円のはずが6万円に値上げされている
「お詫びマイル」がでるかもね?
今回の「JALの旅客システム」刷新は範囲が広く、システム変更はかなり大変でしょうが、利用者への影響が大きかったとなれば、後日「お詫びマイル」が出るかもしれません。
おそらく「500マイル」ぐらいは出るのはと予測します。(全員ではなく対象者。あるいはクレーム者に。)
ちなみに、以前、国際線の飛行機に乗っていて、エンタメ機材に不具合があったときに、いただいたお詫びマイルは「7,500マイル」でした。
Cクラスが予定機材ではなかったためお詫びマイルをいただきました。
Xデーを11月16日にした理由
このような企業のシステム入れ替えの場合、銀行などのように、稼働日や稼働時間が決まっているならば、無稼働の期間で実施しやすいというタイミングがあり、連休や正月休みに、担当者が休日出勤して対応しています。
航空会社のように、365日24時間、サービスを提供している場合は、そういう無稼働期間がなく、システム入替を行うタイミングがなかなか難しいです。
今回の「JALの旅客システム」刷新の日にちを「11月16日」に設定した理由というのが、どうも「ビジネス利用客が多い日」ということで、この日が選ばれたらしいです。
それを聞いて、
え?
という感じがしました。
飛行機に乗り慣れた人たちだから、多少のご不便があっても許してもらえる?という発想でしょうか。また、何かあっても、大人な対応をしてくれる人が多いでしょう。
しかし、「ビジネス利用客」というのは、スケジュール通りの運航というのを期待しているので、それを乱す何かがあっては困るわけなのですが。
しかし、週末などの旅行者が多い日では、不具合時の代替交通手段・宿泊代の補償費の方が高いのかもしれません。
そういうことならば、ビジネス利用の多い平日の日というのは、合理的な日にち設定かもしれません。
11月16日が「美酒だった人」と「やけ酒だった人」
ちなみに、2017年11月16日は、「ボジョレー・ヌーボーの解禁日」。
日本航空・JALのラウンジでも、ボジョレー・ヌーボーが特別に供されました。
この日は、このシステムトラブルで「やけ酒だった人」も少なからずいたかもしれない。
日本航空・JALの新ルールをチェックしましょう!
日本航空・JALでは、今回の「新旅客システム」への移行に合わせて、搭乗券やマイルのルールも若干変更になっていますので、チェックしておいた方がよいでしょう。
個人的にうれしいのは、搭乗券払い戻し時の「e jalポイント」の返還をしてもらえるようになった点。今までは返還されておらず、JALの総取りとなっていました。
日本航空・JALが2017年秋に各種ルール変更
基幹の旅客システムを刷新し、特典航空券などのルールも変更します。
このような大規模システム変更の場合、トラブルがない方が難しいわけですが、従来のホスト系の場合と違い、Web系システムは修正しやすいという点もあるので、いろいろと表出している細かいエラーなどは、対策前進でなるべく被害を少なく対応いただくことを祈っています。
追記:システム変更の影響をじわじわと実感(2018年4月)
2017年11月にシステムリニューアルされてから約半年。その間、私個人的には、
- 国内線:事前座席予約した座席が、別の人に勝手に取られる
- 国際線:特別対応の航空券の場合、料金支払いがWeb決済できなく電話決済
- 国際線:国内区間をWeb上では任意に選べない
などのような場面に遭遇しましたが、だいぶ落ち着いてきているようです。
一ユーザーの意見として、国際線の航空券に追加する国内線部分の対応を変えて欲しいです。今は最短出発の便しかWebでは選べないようになっていますが、昔のように複数の中から選択できるようにしてほしいものです。毎回、サポートセンターに内容変更のTELするというのは、ユーザーにしてもJAL側にしても、お互い手間だと思うのですが。。。
Have a good flight! ✈