航空業界に関心のある人にとって、最近の話題となっているキーワード「8.10ペーパー」。この拘束期間が、2017年3月末で終了します。
「8.10ペーパー」とは何か?
wikiの説明を引用すると、
2012年8月10日 - 国土交通省によって「日本航空への企業再生への対応について」が策定され、2016年度まで企業再生が適切かつ確実に行われ、公的支援によって競争環境が歪められていないか、航空局による監視が行われるとした(8.10ペーパー)。
この国土交通省の「日本航空への企業再生への対応について」の公表日付が8月10日だったので、「8.10ペーパー」と称されます。
なお、国土交通省の「日本航空への企業再生への対応について」の全文はコチラ↓
分厚い資料を想像してしまいがちですが、たった3枚のペーパーです
一度経営破綻した日本航空・JAL
2010年1月、日本航空・JALは、膨れ上がった債務の対策が行き詰まり、東京地方裁判所に会社更生法の適用を申請し破産しました。
まだ数年して経ていないので、覚えておられる方も多いと思います。
当時の日本航空・JALは、組織が官僚的で、社員の中には「潰れても国が助けてくれる」という考え方の人が多かったようで、あまり収益性などは考えず、借り入れなどの資金調達を繰り返していたのが、災いしたようです。
そして、国の助けを借りて経営再建となり、京セラ創業者の稲盛和夫氏を経営陣に送り込んだり、人員整理や債務を放棄してもらったりして、いろいろと企業改革をすすめ、2012年9月に再び東京証券取引所に再上場。今に至る。その過程で、会社CIに従来の鶴丸マークが復活したりもしました。
「8.10ペーパー」によって制限されているもの
そもそも「8.10ペーパー」が出てきた背景は、以下の通りです。
日本航空・JALが経営破綻し、国の支援で、かなり有利な状態で再建となりました。また、会社更生の企業は、最長7年間、法人税の納税を免除される特例もあります。
しかし、国営企業というわけではなく民間企業で、そういう特別対応は、エコヒイキではないかという、他の航空会社などの声もあり、日本航空・JALを一定期間監視しましょう、ということで、「8.10ペーパー」が出てきました。
具体的には、2012-2016年度の期間中
- 新規路線の抑制
- 新規投資の抑制
- 空港の発着枠の新規割当の抑制
という内容です。
ただし、これらは完全に禁止しているわけではなく、監督省庁である航空局が、その内容に関して、報告を求め、監視をする、という形になります。
実際に、期間中でも、ボーイングB787を導入したり、エアバスA350を発注したり、空港ラウンジのリニューアルなど、新規投資を行なっています。もしくは、投資という扱いではなかったのでしょうか。
「8.10ペーパー」失効後に変わるもの
日本航空・JALの足かせになっている「8.10ペーパー」が、2016年度末、つまり2017年3月末で失効となります。失効後、新規路線の就航などが期待されています。
新規路線の就航は期待したいところです。
このマイル修行を始める前、年に2-3回ぐらいしか飛行機に乗っていなかった時、飛行機で世界中に行けると、思っていました。しかし、飛行機に乗り慣れ、世界各地に行くようになると、日本航空・JALの海外路線は、思っていたよりも少ないと感じています。
たとえば、成田国際空港からのJAL運行の直行便の就航都市は、以下の31都市。
- グアム (GUM)
- クアラ・ルンプール (KUL)
- コロール (ROR)
- サンディエゴ (SAN)
- シカゴ (ORD)
- シドニー (SYD)
- ジャカルタ (CGK)
- シンガポール (SIN)
- ソウル (ICN)
- ダラス (DFW)
- デリー (DEL)
- ニューヨーク (JFK)
- ハノイ (HAN)
- パリ (CDG)
- バンクーバー (YVR)
- バンコク (BKK)
- プサン (PUS)
- フランクフルト (FRA)
- ヘルシンキ (HEL)
- ホーチミンシティ (SGN)
- ボストン (BOS)
- ホノルル (HNL)
- マニラ (MNL)
- モスクワ (DME)
- ロサンゼルス (LAX)
- 上海 (PVG)
- 北京 (PEK)
- 台北 (TPE)
- 大連 (DLC)
- 香港 (HKG)
- 高雄 (KHH)
(2017年3月現在、成田国際空港からのJAL運行の直行便の就航都市)
One Worldのアライアンス航空会社や提携航空会社を含めれば、就航都市は上記よりも多いです。
世界の国の数は196カ国、100万人以上の人口を擁する都市は約100都市。それと比べて、31都市というのは、まだまだ可能性があると感じます。
とくに、ヨーロッパや中東エリアは少ないように感じています。たとえば、フィンランドは飛ぶのに、イタリア、スイスやスウェーデンなどには飛ばしていない。航空機の航続距離や、その他の事情もあるのかもしれません。
飛行機乗りとしては、いつまでもOKA-SINで、シンガポールというのも飽きてしまいますので、「8.10ペーパー」失効を機に、新しく就航していただき、新たな国への旅行を楽しみたいものです。
Have a good flight! ✈